2巻は22歳になったアントワネットとオスカルが4年ぶりにフランスに戻ってきたフェルゼンと再会するところから始まります。
ロザリーも探していた実の母が判明し・・・
【2巻1章】「ゆるされざる恋」のあらすじと感想まとめ
「ゆるされざる恋」あらすじ その 1
4年ぶりにフェルゼンがフランスに戻りベルサイユに姿を見せます。アントワネットの身体中から迸(ほとばし)る喜びは言葉にしなくとも誰の目にも明らか。
フェルゼンもまた然りですが、彼は実らぬ恋を断ち切ろうと、
釣り合う相手なら誰でもいいと結婚に踏み切ろうとします。
アントワネットがフェルゼンに心を奪われることで、ポリニャック伯夫人の影は薄くなります。焦った彼女は暴漢にオスカルを殺させようとしますが失敗します。夫人はポリニャック家の安泰を図ろうと、11歳の娘シャルロットとド・ギーシュ公爵の結婚を決めてしまいます。
そしてロザリーの実の母親も判明します。それは何と最愛の育ての母を馬車で゙轢き殺したポリニャック伯夫人だったのです。
ある日偶然誰もいない場所でアントワネットとフェルゼンは遭遇します。二人は気持ちを抑えきれず、愛を告白しながら抱き合ってしまうのでした。
王妃のスキャンダルはまずいと、憎まれるのを覚悟でアントワネットに忠告をするオスカルですが、アントワネットに、あなたに女性の心をもとめるのは無理なのでしょうかと言われショックを受けます。
ジャンヌは相変わらず元気にローアン大司教をペテンにかけています。王妃様はあなたに気があるって!愛の証にお金いっぱい寄付しちゃいなよ!とか唆して大金を巻き上げています。
「ゆるされざる恋」の感想 その 1
オスカル様、なんて可哀想な立場なのでしょうか。
よく考えれば、フェルゼンはスウェーデンの大貴族で陸軍元帥の息子、オスカルは代々将軍を拝命しているフランスの由緒正しい貴族の娘。これほど釣り合う相手もいないのでは?
それなのに、オスカルはフェルゼンへの恋心を隠し、フェルゼンの恋の苦悩を聞いてあげたり、王妃を守るために彼女フェルゼンとの恋を諌めるのです。
ですが、フェルゼンには「愛してたって結婚できるとは限らねーんだよ!」と八つ当たりされるし、アントワネットには「女心をもとめるのは無理よねー」と遠回しに言われるし。
真面目に頑張っても、恋の炎の前ではただの邪魔者。辛いですね、オスカル様。
「ゆるされざる恋」のあらすじ その 2
ポリニャック伯夫人の娘、11歳のシャルロットは結婚嫌さに身を投げてしまいます。
直後、ポリニャック伯夫人はロザリーを娘として引き取ろうとして拒絶されます。
フェルゼンは王妃への愛を全うするために、誰とも結婚しない決意をします。
アンドレとロザリーもまたオスカルへの報われぬ恋に苦しむのでした。
ローアン大司教は、私と王妃って両思いなんだよね?彼女に実際会うとつれないんだけど!?とジャンヌにクレームを入れます。
ジャンヌは王妃そっくりの娼婦をニセモノに仕立て、ローアンと逢い引きさせます。そして有頂天になった大司教から、ますますお金を巻き上げるのでした。
「ゆるされざる恋」の感想 その 2
シャルロットが身を投げた時、オスカルはポリニャック伯夫人のせいで受けた怪我の後遺症で、腕が動かず助けられませんでした。皮肉ですよね。夫人がオスカルを暴漢に襲わせてなかったら、オスカルはシャルロットを助けることが出来たのですから。
ジャンヌは詐欺をしてでもお金をゲットすることしか考えていません。
ほとんどのメインキャラが、叶わぬ恋に身悶えしている中でも、ジャンヌは色恋には全く興味がなさそうです。
彼女にインタビューしたら「愛だの恋だのなんて余裕のある奴らのお遊びだよ。そんな奴等からアタイが少々お金を頂いたって構わないだろうが」とうそぶきそうですね。
というか、ロザリーが貧しい暮らしをしている頃から上品過ぎるんですよね。やはり貴族の血が流れているためなのでしょうか。
アントワネットとフェルゼンは18歳で出会い、互いに惹かれ合いました。
それから4年間会わなかったのは嫌いになったからではなく、お互いのためを思ってのことです。そんな二人が22歳の美しい盛りに再会したら、気持ちを抑えるのは無理ってものですよね。
フェルゼンも何だってフランスで嫁探しをしようと思ったんでしょう。父上に嫁を探すなら文化の先進国、わしの大好きな国フランスだ!とでも命じられたのでしょうか。
それにしてもアントワネットとフェルゼンのラブシーンは何とロマンチックなのでしょうか。本当に美しいです、ウットリ。
「ゆるされざる恋」あらすじ その 3
アメリカでは独立戦争(1775-1783)が起こっています。フランスはイギリスの力を殺ぐためと大陸などでの権益を取り戻すため、アメリカ側に付きます。フェルゼンは遠征軍司令官のラファイエット候の副官に志願しフランスのから離れます。全てはアントワネットを自分との恋の噂から守るためでした。
そして1778年、アントワネット23歳の時、第一子マリー・テレーズを出産します。
その後、宮廷の窮屈さから逃れるため、アントワネットはプチトリアノンにお引っ越し。お気に入りのメンバーしか出入りを許さなかったため、弾かれた貴族達は怒りを募らせます。
1780年、アントワネットの敬愛してやまなかった(けれど忠告は全く聞かなかった)偉大なる女帝マリア・テレジア崩御。アントワネットがフランスの王太子を産むのを知ることは出来ませんでした。
1781年、とうとう王太子ルイ・ジョゼフが誕生し、貴族や金持ちがお祭りムードに包まれている間も、国民の飢えは深刻でした。
ジャンヌは160万リーブルの首飾りをローアン大司教を騙して手に入れます。支払いはアントワネット様が必ずするからね!保証人は愛するローアン様しか考えられないって!ニクいね!
このこの~・・・
1783年、とうとうアメリカ独立戦争が終結。しかしフェルゼンは帰ってきません。
オスカルは心配でたまりませんが、誰にも言えず、たまったストレスを町の酒場で発散、しかも近衛士官とばれて庶民に襲われます。アンドレももちろん巻き添えを喰いズダボロになりますが、気を失っているオスカルを抱き上げ帰宅の途につくのでした。
「ゆるされざる恋」感想 その 3
ルイ16世とアントワネットが結ばれ、本当の夫婦になるまでに何と嫁いでから7年もかかっています。その前にアントワネットの長兄ヨーゼフ2世がフランスまで赴いて夫婦それぞれの相談に乗りました。マリア・テレジアの意向でしょうが、ご苦労なことです。
この時ヨーゼフはルイ16世の包茎を手術で治すよう説得し、ルイが受け入れたので男になれたというのが通説になっています。しかし、当時の文献でルイがそのような身体的な問題を抱えていたと書かれたものは見つかっておらず、噂が独り歩きしてしまった可能性もあるのだそうです。そうだとしたら、ただ単に二人ともお子ちゃまだったから?
いずれにしろ、二人はキャラが違いすぎて行動は別々のことが多かったのですが、仲は決して悪くなかったようです。
フランス軍のアメリカ遠征司令官ラファイエットはフェルゼンの2歳下、若いですね!
この頃二十歳前後。
史実ではラファイエットは国王から反対されたのに私費で船を用意し、義勇軍として参加したようなのですが、フェルゼンはそこに加わったのでしょうか?。
子供が生まれてからは賭博を止め、子供に愛情を注ぎ、落ち着いた生活を好むようになるアントワネット。
しかし、その落ち着いた生活をするためにプチトリアノンを中心として築いたアントワネットワールド、見た目はのどかな田園風景だったりするものの、やはり莫大な国費が投じられたのでした。
ベルタン嬢はすかさず、イギリス田園風の素朴(的な)ドレスを作っています。客の要望をすぐさま形にして提供できるのはさすが、成功する人は違いますね。
若い頃にベルばらを読んだ時はオスカルのフェルゼンへの恋心、途中まで気が付きませんでした(疎い)。この酒場のシーンでも随分心配なんだねーくらいにしか思わず(疎い)。
それほど、オスカル様が自分の恋心をひた隠しにしていたってことですよね。
【2巻2章】「黒い騎士をとらえろ」あらすじと感想まとめ
「黒い騎士をとらえろ」あらすじその1
フェルゼンがとうとうフランスへ帰ってきました。
アントワネットと涙の再会を果たし、彼はもうアントワネットの側を離れないと誓います。
オスカルはフェルゼンが戻ったことに人知れず喜びの涙を流すのでした。
いつまで待ってもアントワネットから首飾りの代金が支払われないことに業を煮やした宝石商が怒鳴り込み、1785年8月15日、首飾り事件発覚。ジャンヌ、ローアン大司教らが逮捕され裁判が行われます。
ここでもジャンヌは言いたい放題、口から出任せで罪をアントワネットになすりつけます。
ジャンヌは終身禁固刑となりますが、平民から貴族まで面会希望が殺到、大人気です。その上牢獄から脱走、嘘だらけのハレンチ回想録でガッポガッポです。
アントワネットは回想録の内容を民衆が信じきっていること、ローアン大司教が無実(民衆は、つまり悪いのは王妃ってことだよねと解釈)なことにショックを受けます。
ロザリーはオスカルのためにポリニャック伯夫人の下へ行き、ジャンヌの居所をオスカルに教えます。
オスカルが捕まえに行き、ジャンヌと夫ニコラスは捕り物騒ぎの中死亡。首飾り事件の決着がついたことでオスカルは出世します。
アントワネットは自身の悪評を自覚し、フェルゼンに助言を求め、行いを改め王妃らしくなりました。
しかし僧侶、貴族から税金をとろうとして首になった大蔵大臣カロンヌの暴露により国の借金額を知った民衆は驚愕。
借金の全ては派手で遊び好きのオーストリア女、アントワネットのせいだと怒りを募らせます。
ロザリーはポリニャック伯夫人が自分を求めたのは亡くなったシャルロットの身代わりとしてド・ギーシュ公爵と結婚させるためだったと知り、ポリニャック家から逃げてしまいます。
「黒い騎士をとらえろ」感想 その 1
ニコラスが死んだ時、ジャンヌがすごく取り乱していて、愛があったんだね!と、ちょっぴりほっこりしてしまいました。
それにしてもアントワネットの民衆からの評判の悪さは凄まじいですね。
まあ、いくら悪気がないからといっても、若いときのド派手ファッション、取り巻きへお金や地位をホイホイあげてしまう、賭博でバカスカ国費を失う、プチトリアノンのお気楽暮らし、そして恋の噂などが悪意たっぷりに広められたら、民衆の飢えた体と心が王妃を憎んでしまうのは仕方ないのかも知れませんね。
「黒い騎士をとらえろ」あらすじ その 2
フェルゼンはオスカルの自分への恋心に全く気付かず、ボディタッチをしながらアントワネットのことを守ってくれと頼みます。
オスカルはフェルゼンへの気持ちを吹っ切るため、ドレスアップして舞踏会で彼と踊ります。ダンスの最中にフェルゼンの語るオスカルへの人としての賞賛の言葉と、彼の腕に抱かれ踊れたことで、これで諦められると泣くオスカルでした。
アントワネットはすっかり良い母となり、子供達を慈しんでいます。
この頃、黒い仮面と黒装束で「黒い騎士」と名乗る盗賊が出没、貴族の館ばかりを狙います。
オスカルは黒い騎士を追い、国王のいとこオルレアン公の居城に行き着いたところで見失い、不思議に思っているところ頭を殴られ気絶。気付くとパリの町に戻っていたロザリーに保護されているのでした。
オスカルはロザリー達市民のあまりにも貧しい暮らしにショックを受け、ロザリーを自宅に連れ帰ります。
7歳の王太子ルイ・ジョゼフは脊椎カリエスを発症してしまいます。
オスカルはアンドレをニセモノに仕立て囮にして、黒い騎士をおびき寄せます・・・
「黒い騎士をとらえろ」感想その 2
ひー、フェルゼン罪な男ですね。自分に惚れてる女の肩や手をベタベタ掴んで。いくら凛々しい男姿をしていたとしても、オスカルが頑張って自分の心を押し殺してたとしても、一応女だと分かっている、あんなに美形のオスカルを何とも思わないだなんて。
アンドレはフェルゼンのために美しく装うオスカルを見せつけられた上に、黒い騎士のニセモノを演じさせられてとっても不憫です!
王太子ルイ・ジョゼフの結核菌感染による脊椎カリエス。乳母のポワトリンヌという女から移されてしまったそうですね。
乳母の健康チェックはしなかったのでしょうか。結核は初期は症状があまり無いので、気付かなかったのかも知れませんね。
可哀想な王太子殿下・・・
3巻へ続きます。